活動報告・ブログACTIVITY / BLOG

恐ろしい計算能力!【量子コンピュータ】を解説
2024-05-01

恐ろしい計算能力!【量子コンピュータ】を解説

従来のコンピュータよりはるかに強力な計算能力を持つ「量子コンピュータ」

近年では、国を上げて量子コンピュータの技術開発の後押しをしていこうという動きもあり、興味を持ち始めている方もいるのではないでしょうか。

今回は、「量子コンピュータ」について、国会議員・今枝宗一郎が簡単に、わかりやすく解説します。

この記事を読むことで、量子コンピュータの可能性や課題、政府の取組について理解することができます。
ぜひ一緒に学んでいきましょう!

↓こちらの動画でもわかりやすく解説しています
YouTube:恐ろしく計算が速い、量子コンピュータ、みなさんは理解についてこれますか…?

量子コンピュータとは?

量子コンピュータ経済産業省『政策特集|活用!量子コンピュータ vol.1』
量子コンピュータとは、「量子」の持つ性質を利用して、情報処理を行うコンピュータのことです。

この「量子」とは、「原子」や「電子」などの物質を構成する小さな粒、というイメージです。
量子には、波の性質と粒子の性質を持つ「波と粒子の二面性」という特性があり、この複数の側面を持つ状態を「重ね合わせ」といいます。

従来のコンピュータは2進法に基づいて「0」か「1」のいずれかを表現し、情報処理を行っていました。
しかし、量子の「重ね合わせ」の状態を用いれば、「0」と「1」の両方を1ビットで表現できるようになります。
ちなみに、ビットとは、コンピュータが扱う最小単位のことです。

ここで仮に、3ビットを用いた場合で比較してみると、従来のコンピュータでは「000」から「111」まで、全8通りの組み合わせのうち、一度に扱えるのは「001」のような1パターンしかありません。一方で、量子コンピュータでは、量子の「重ね合わせ」によって8通りの情報すべてを、3ビットで同時に扱うことができるのです。

これがもし仮に、50ビットを用いる場合を考えると、量子コンピュータで扱える情報は1000兆個以上になります。
量子コンピュータの恐るべき処理速度のイメージが、少しでも伝わったでしょうか。

さらに、量子の波の性質と粒子の性質をコンピュータに応用した、人類の技術進歩の凄さを証明する数字が、「1億倍」です。
量子コンピュータの処理速度は従来のコンピュータの約1億倍とも言われており、圧倒的なスピードが特徴です。
従来のコンピュータの演算方式ではいずれ速度の限界が来ると言われていた中で、全く新しい演算方法を持つこの量子コンピュータ技術が開発され、処理速度の高速化に新たな希望が見えてきました。

量子コンピュータの課題と政府の取組

量子コンピュータは恐ろしく計算が早いため、「量子コンピュータを使えばどんな問題でも超高速に解ける」というイメージを持つ方も多いかもしれません。
しかし実は、量子コンピュータを使うことで従来のコンピュータより高速化されることが数学的に証明されている数学的問題は、残念ながらわずかに100個程度なのです。
しかも、その中で社会課題解決やビジネスにつながりうる問題は、量子化学計算、機械学習、量子シミュレーションなど非常に限定的です。

また、量子コンピュータを動作させる環境は-273℃、いわゆる「全体零度」と呼ばれる超低温環境でなければならず、その冷却設備のサイズにも限界があります。
そのため、量子コンピュータの演算を行う機械のサイズが限定されてしまうことや、制御装置と量子コンピュータチップの間の金属ケーブルから熱が流入して絶対零度を維持するのが難しいことなど、適切な動作環境を作るうえでの大きな技術的課題があるのも事実です。

だからこそ、政府の掲げる「ムーンショット目標」の6番目にも「2050年までに、経済・産業・安全保障を飛躍的に発展させる誤り耐性型汎用量子コンピュータを実現」とあり、国を上げて、量子コンピュータの技術開発の後押しをしていこうとしています。

ムーンショット目標6内閣府『ムーンショット目標6』

この目標の通りに量子コンピュータが実用化されれば、これまで達成できなかったあらゆる課題解決に役立ちます。
例えば、交通分野においては、これまで渋滞予測のシミュレーションが、従来のコンピュータによって行われていました。
そのコンピュータそのものが、ハイスペックな量子コンピュータに置き換わることで、都市部の渋滞解消や物流の最適化のためのシミュレーションがこれまで以上に正確になります。その結果、将来的には、渋滞知らずのまちづくりができるかもしれません。

他にも、天気予報や災害予測などにおいて、より正確かつ迅速に警報や避難情報が伝達できるようになり、命の安心安全が守られ、私たちの暮らしがより良くなる可能性が一気に広がることでしょう。

このように、量子コンピュータは、あらゆるシュミュレーションの精度と速度を格段に向上させ、「世界が変わる」可能性を秘めている技術なのです。

おわりに

いかがだったでしょうか。
今回扱った「量子コンピュータ」は、かなり未来を先取りしたキーワードでした。
ただ、皆さんが大人になって社会で活躍する頃には、もう実用化されている技術かもしれません。
量子コンピュータによって変わった新しい世界の景色を、皆さんと一緒に見届けられたらと思っています!

量子やAIの分野は、政府としても成長戦略の最重要テーマの一つに掲げ、注目している分野です。
現代の様々な社会課題の解決に役立つ大きな可能性を秘めた「量子コンピュータ」そして「量子」の世界について、皆さんもぜひ注目してみてくださいね!

関連リンク

YouTube:恐ろしく計算が速い、量子コンピュータ、みなさんは理解についてこれますか…?
2024-01-22ブログ【日本社会の未来を変える】『ディープテック』を解説

↓ぜひ関連するYouTube動画もチェックしてみてください!↓
YouTube:ディープテックとは何か?ディープテックの現状と課題について解説します!

前に戻る

AIそうちゃん