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夢の技術!?『フュージョンエネルギー』を解説
2025-01-07

夢の技術!?『フュージョンエネルギー』を解説

衆議院議員 今枝宗一郎

衆議院議員 今枝宗一郎がお届けする「注目のキーワード解説」。
「政策用語は難しい。もっと噛み砕いて解説してほしい」そんな声に少しでも応えるべく、スタートアップ、新産業、テクノロジー、最新医療などを中心に、日本の未来を担う学生のみなさんにもわかりやすいように解説しています。

YouTubeはこちらから

夢の技術とも言われている「フュージョンエネルギー」
その具体的な仕組みや実現に向けた課題については、まだ詳しく知られていない部分も多いのではないでしょうか。

今回は、「フュージョンエネルギー」について、国会議員・今枝宗一郎が簡単に、わかりやすく解説します。

この記事を読むことで、基本情報から、世界や日本政府のイノベーション戦略について理解することができます。
ぜひ一緒に学んでいきましょう!

↓こちらの動画でもわかりやすく解説しています
YouTube:夢の技術【フュージョンエネルギー】実用されると世界はどうなる?

 

「フュージョンエネルギー」とは?

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フュージョンエネルギーは「夢のエネルギー」とも称され、産業界で大きな注目を集めています。

これは、太陽がエネルギーを生み出す仕組みを地上で再現し、エネルギー源として活用する技術です。具体的には、軽い原子の原子核同士が融合して、より重い原子核に変化する際に、大量のエネルギーが放出されます。

この反応では、原子核内の陽子や中性子の結合エネルギーが変化し、その結果、わずかな質量が失われ、それがエネルギーとして放出されます。フュージョンエネルギーの研究開発で目指しているのは、この反応を人工的に引き起こし、電気や熱として持続的にエネルギーを取り出すことです。

この技術が実現すれば、クリーンで持続可能なエネルギー源として、将来のエネルギー問題解決に大きく貢献すると期待されています。

 

なぜ「夢のエネルギー」なの?

「夢のエネルギー」と称されるフュージョンエネルギーですが、なぜそのように言われているのでしょうか?

それは、日本がエネルギーの多くを海外から輸入している現状を変える可能性を持っているからです。

フュージョンエネルギーの仕組みでは、重水素(D)三重水素(T)という反応が起きやすい物質を使います。この「DT反応」を利用する研究が進められており、これらの資源は海水中に豊富に含まれています。

つまり、海に囲まれた日本では、この技術が実現すれば国内で安定的に必要な資源を確保でき、エネルギーの輸入に依存しなくてもよくなる可能性があるのです。

さらに注目すべきは、限りある化石燃料やウランに頼らない点です。

石油や石炭は数十年、ウランも数百年で枯渇すると予測されていますが、フュージョンエネルギーで使う水素の同位体は、海水中に豊富に存在し、事実上無尽蔵です。この特性により、将来的に資源の枯渇を心配する必要がなくなります。

また、天候や時間帯に左右されることなく安定したエネルギー供給が可能で、効率的なベースロード電源として期待されています。さらに、燃料や電源を切ればすぐに停止するという性質があることから、いわゆる核分裂反応のように収集がつかなくなることは考えにくいのです。

これらの特徴から、フュージョンエネルギーは環境目標の達成やエネルギー問題解決の切り札として期待されているのです。

フュージョン反応の様子

 

今後の日本の戦略は?

1. グローバルな動向と他国の先行事例
世界各国がカーボンニュートラルを目指す中、アメリカ、イギリス、中国などでは政府が主導し、科学技術の進展を加速させています。これに伴い、民間投資が活発化し、官民一体での取り組みが進展しています。こうした背景から、フュージョンエネルギーの分野では国際競争が激化しており、次世代エネルギーの市場をめぐる争いが加速しています。

2. 日本のビジョンと戦略的取り組み
日本もこの動きを受けて、次の10年を見据えた戦略として「フュージョンエネルギーの産業化」をビジョンに掲げています。民間企業の更なる参画を促進し、産学官が連携して取り組む必要があり、民間投資の呼び水となる具体的なアクションを盛り込んだ国家戦略を策定しています。

その中にはもちろん、安全確保の基本的な考え方を策定すること、とも書かれています。安全規制の内容によってフュージョンエネルギーに必要な機器に求められる性能や設計等が変わるので、民間企業の参画を促進するためにはできるだけ早く安全規制を検討する必要があります。そのため、内閣府に、技術者や規制の専門家、一般市民を構成員とするグループを設置し、関係省庁の協力を得ながら、フュージョンインダストリーの育成原型炉開発の促進も念頭においた、安全確保の基本的な考え方を、産業化に乗り遅れないように検討していきます。

 

未来を切り開く教育プログラム

文部科学省では、次世代エネルギーとして注目される核融合に関する学びを支援する多彩なプログラムを提供しています。高校生から大学生、大学院生まで幅広い世代に向けて、科学の最前線に触れられる貴重な機会が用意されています。

高校生向け:未来の科学者を育む体験型プログラム
高校生を対象としたプログラムでは、大学の研究室で最先端の科学や技術に触れて考え、その成果を発表する「高校生シンポジウム」が開催されています。また、現役研究者の指導を受けながら科学への興味を深める体験型グループ研修プログラムや研究者が学校に出向いて授業を行う出前授業も実施中です。

大学生・大学院生向け:深い学びと実践の場を提供
大学生や大学院生には、夏には合宿形式で研究活動を行う体験入学やインターンシップが行われ、実際の研究プロセスを体感できます。また、全国の学生が実行委員となり企画する「若手フォーラム」や、サマースクールも実施されています。

一歩踏み出すチャンスを逃さないで
これらの取り組みを通じて、科学への興味を深め、研究者としての第一歩を踏み出すきっかけを提供しています。対象の皆さんはぜひ参加を検討してみてはいかがでしょうか。

 

関連リンク

YouTube:夢の技術【フュージョンエネルギー】実用されると世界はどうなる?

核融合エネルギーの実現に向けて:文部科学省

 

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