今枝質問
それでは、副大臣時代に担当いたしましたイノベーションの一つであるフュージョンエネルギーについて、次に伺います。
私が座長を務めましたフュージョンエネルギーワーキングチームにおいては、十五回にわたり会議を開催し、国内外を視察しつつ、フュージョンエネルギーの我が国における早期の社会実装および産業化に向けて尽力してまいりました。多くの方々のお力添えを賜り、深く感謝申し上げますが、本年、政府として十年以上前倒しした2030年代に原型炉による発電実証を行うという目標をコミットするに至りました。
しかしながら、課題がございます。ワーキングチーム取りまとめ資料の十二ページおよび十三ページを用いて説明させていただきます。
まず十二ページはQST(量子科学技術研究開発機構)の資料でありますが、現在のQSTの考え方では、同時期に発電実証を目指す英国と比較し、発電規模が約十分の一にとどまる状況にございます。具体的には、QSTによる現行の目標として、出力0.17ギガワット、発電出力0.07ギガワットが示されております。
一方で、十三ページにございます資料によれば、英国は2040年を目標に、出力約16~18ギガワット、発電出力約0.1~0.2ギガワットとされており、我が国の目標と比較して十分の一程度の差が生じているのが現状であります。英国はITER(国際熱核融合実験炉)およびEUからの離脱をしており、技術水準においては、JT-60SA(超伝導核融合実験装置)を有する我が国が明らかに優位に立っていると考えられる中で、このような大幅な差が生じていることは問題であります。
結論といたしまして、我が国の原型炉が目指すべき目標について、現行のQST案が適切であるか否か、再検討が必要であると考えます。これを踏まえ、副大臣として取りまとめを行いましたが、我が国の目標は他国と遜色ない水準に引き上げる必要があり、そのためには発電規模を十倍化すべきであると存じます。この点についてのご見解を伺います。
政府答弁
お答え申し上げます。フュージョンエネルギーは次世代のクリーンエネルギーとして、環境およびエネルギー問題の解決策として大いに期待されており、世界各国において大規模な投資が行われるなど、国策として取り組まれております。
原型炉の発電実証を早期に実現するためには、数百メガワットの電気出力を目指す場合、ITERよりも装置規模が大型化し、建設に時間を要するという課題がございます。このため、ITERと同程度の規模の原型炉において発電実証が技術的に成立するか否かについて、現在、文部科学省の審議会において議論を重ねているところでございます。
電気出力の目標につきましては、審議会では早期の発電実証を目指すとともに、段階的に改造を施し、プラント規模の発電を目指すという方向性で検討を進めております。
文部科学省といたしましては、引き続き、諸外国の状況も踏まえつつ、審議会における議論を深めるとともに、内閣府など関係機関と連携し、早期の発電実証に向けて努めてまいりたいと考えております。以上でございます。
今枝質問
ご答弁ありがとうございました。
早期の発電実証に加え、発電規模についてもぜひご尽力を賜りたく存じます。
このためには、推進のための基本法の制定が必要であるとも考えますので、引き続きよろしくお願い申し上げます。