私が担当する宇宙政策に関して、先日の小型月着陸実証機(SLIM)の月面着陸の結果をご報告します。
①着陸の全体像について
・分析の結果、目標地点から東側に約55m程度で着陸していることを確認。(ピンポイント着陸目標の100m以内の精度)
・また、降下時の高度50m地点では、目標地点からの精度は10m以下(おそらく3~4m程度)と非常に良好。
・詳細データ評価は継続する必要があるものの、ピンポイント着陸の技術実証は達成できたと考えられる。
・さらに、着陸直前の小型ロボット(LEV-1、LEV-2)放出が成功裏に実施され、期待された画像取得に成功。加えて、科学観測(分光カメラ)も、電源オフまでの間、正常に動作し、画像を取得。
②太陽電池が西を向く姿勢(着陸時の姿勢)となった原因
・高度50m時点で2基のメインエンジンの1基の推力が失われたと推測され、以降、SLIMは自律的に異常を検知し、移動を抑制しつつ、着陸を実施。
※メインエンジン自体は、着陸降下時まで異常兆候はなく、エンジン以外の要因が波及した可能性があると考えられるが、引き続き調査中。
・接地時の降下速度は、設計より低く抑えたものの、横方向の速度や姿勢等の設置条件が設計範囲を超え、接地後に大きな姿勢変動が生じたと推測。
③今後の対応
・今後、月面で太陽が西から当たるようになれば、太陽電池が発電する可能性あり。復旧すれば、残る科学観測を実施予定。
・メインエンジンに生じた異常事象について、詳細な検討により原因を特定し、課題や対策を明らかにする。
・引き続き、復旧運用を試みつつ、詳細データ評価や原因調査を継続。
https://news.yahoo.co.jp/articles/3efe8a60b9535720e0e8b439faa5d38c195f39c2