最近、ニュースなどで目にする機会が増えた「半導体」。
電気製品やスマートフォン、AIなど幅広く活用されていますが、詳しいことはよく分からないという方も多いのではないでしょうか。
今回は、「半導体」について、国会議員・今枝宗一郎が簡単に、わかりやすく解説します。
この記事を読むことで、半導体の基礎や日本における取組について理解することができます。
ぜひ一緒に学んでいきましょう!
↓こちらの動画でもわかりやすく解説しています
YouTube:【半導体】日本経済が盛り返す爆弾となる!?|半導体新工場が稼働ラッシュ
「半導体」とは?
半導体とは、導体と絶縁体の中間の性質を持つ物質を指します。また、半導体を材料に用いたトランジスタや、多数のトランジスタなどを作り込み配線接続した集積回路も、慣用的に「半導体」と呼ばれています。
半導体は、2000年代以前も電気製品に使われていましたが、デジタル化が進展したことにより、現在では、AI、ロボット、スマートフォン、パソコン、クラウドなどの幅広い分野で多くの製品に使われています。
このように、産業に必要不可欠な部品であることから、半導体は「産業のコメ」とも言われています。
「半導体」が日本経済を盛り返す⁉
2021年における半導体市場は約61兆円でしたが、今後も右肩上がりで成長し、2030年には100兆円を超える規模にまで成長すると言われています。
そして、今がまさに半導体が日本経済を盛り返す絶好のチャンスだと言えるでしょう。
具体的には、日本の強みであるものづくり産業が競争力を伸ばし、2024年は日本各地で半導体新工場の稼働ラッシュが起こるとされています。
ちなみに、日本が半導体産業の主役になるのは、これが初めてではありません。
実は、1990年頃には、日本が世界の半導体市場の約5割を占めていました。
しかし、国際競争が激しくなり、現在は市場の1割程度のシェアに落ち込んでいます。
ただ、台湾積体電路製造(TSMC)の拠点を熊本県に誘致するなど、政府主導で先端半導体の国内製造拠点の整備支援が行われてきました。
その結果、2024年から半導体新工場の稼働ラッシュが始まろうとしています。
半導体新工場の目玉の一つは、台湾積体電路製造(TSMC)の子会社であるJapan Advanced Semiconductor Manufacturing(JASM)の熊本県工場です。
先日、JASMの第一工場が熊本に先日完成したと発表があり、話題になりました。2024年12月の稼働開始に期待が高まります。
半導体を巡る政府の取組
経済産業省では、「半導体・デジタル産業戦略」を通じて、2030年に、国内で半導体を生産する企業の合計売上高(半導体関連)の15兆円超を実現し、日本の半導体の安定供給を確保することを目標にしています。
また、文部科学省では、2030年以降、さらに半導体が進展することを見越して、研究やAIをキーワードとしてエッジAIの戦略について議論する検討会が作られています。
「半導体・デジタル産業戦略」に基づく取組は、日本におけるデジタル関連産業の成長・発展に加え、AIをはじめデジタル技術を用いた新しい製品・サービスの創出、GXや経済安保の確保等の社会課題の解決、さらには国内投資の拡大、イノベーションの加速、所得向上といった好循環を生み出しています。
これらを踏まえて、経済産業省は、「半導体・デジタル産業戦略検討会議」において有識者との意見交換を重ね、2023年6月、「半導体・デジタル産業戦略」の改定を取りまとめました。
具体的には、先端ロジック半導体、先端メモリ半導体、産業用スペシャリティ半導体、先端パッケージ、製造装置・部素材の各分野で、以下のような半導体産業復活の基本戦略のステップを講じることで、基盤を強化していく方針です。
【3ステップ】
①IoT用半導体に関する生産ポートフォリオの緊急強化
②日米連携プロジェクトによる次世代半導体技術の習得と、国内での確立
③グローバルな連携の強化により、光電融合技術などの将来技術の実現・実装時期の前倒し
半導体の今後の戦略は?
【技術】
技術面では、半導体の高性能化と低消費電力化を実現するための微細化が特に注目されています。
最先端のゲーム機は6nm世代、車載SoCは5nm世代で設計された半導体が使われていますが、どちらも2030年頃には微細化が進み、2nm世代になるといわれています。
次世代ロジック半導体であるBeyond2nmは、IoT分野のデータ処理拡大や、研究開発や安全保障の観点で、これから求められる高い計算能力を、低消費電力で実現する基盤の技術であり、産業競争力・経済安全保障・DX・GXの実現の鍵となる半導体です。
現在、2nm世代ロジック半導体の製造技術の開発と、開発拠点の整備として北海道での工事が進められています。
【人材育成】
半導体人材の育成に向けた地域の取組も、力を入れて進められています。
各地域に設立されている半導体人材育成等コンソーシアムにおいては、各地の実情や参画企業のニーズ等も踏まえつつ、現時点の半導体産業に対する関心・意識調査や、半導体人材の育成に向けたセミナー、実習、インターンシップ、研修会、出前事業などの取組を次々と実施されています。
中でも、九州では、学生や社会人だけにとどまらず、小中学生を対象にした出前授業が行われており、将来の2nm世代の半導体の開発に向けてもすでに取り組みが進められています。
皆さんもぜひ半導体人材の育成に向けた取組などに参加し、半導体についての理解を深めてみてはいかがでしょうか。
日本経済を盛り返す大きな可能性を秘めた「半導体」に今後も目が離せません!
関連リンク
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半導体・デジタル産業戦略
の現状と今後|経済産業省