本日は、東三河北部医療圏地域医療対策協議会が主催する講演会に参加しました。
講師は、愛媛大学医学部付属病院医療福祉支援センター長の櫃本真聿(ひつもとしんいち)先生です。
櫃本先生は、今の日本の医療を様々なデータから、国民は安い医療費負担で、フリーアクセス(いつでもどこの病院でも自由に罹れる。欧米では決まった病院しか罹れないことが多い)で、寿命も長く、子どもの死亡率も低い素晴らしい医療。しかし、日本の医師は諸外国の4倍の入院患者さんと4倍の外来患者さんを抱え、しかも安い給料でなんとか頑張っている状態。その原因は入院ベッドや在院期間の長さにあり、外来への罹りやすさや入院しやすさは、医療への依存を生んでいるとお話しされました。
その証拠として、病気の中で肺など呼吸器の病気の多さと喫煙率の高さとの相関関係、検診率の低さ、インフルエンザなど自主的にうつワクチン接種率の低さを挙げ、自主的な健康づくり意識の低さを指摘されました。
そして、これからの医療は、お任せ医療、依存ではく、住民自ら参画する医療を目指すべきであり、行政や医療の専門家は住民のニーズを掘り起こして、一緒に医療や介護といった、まちの健康をつくっていくことの必要性を述べられました。
そして、病院がただ単に、治す医療から、特に高齢者が多くなる今後はその人の人生や生活でやりたいことを支える医療にならなくてはならないというお考えでした。
私としては、自分が医者の中でも、在宅医療という道を選んだのも、治す医療以外の価値観=支える医療を実践する為であり、そのところの問題意識が非常に近く、納得できるご講演でした。
今年の厚生労働省の政策で目玉である地域包括ケアについて、私から質問させて頂きました。
先生曰く、「地域包括ケアは個別事例に振り回されている。つまり、全体を取り仕切る包括がもっと力を発揮できるようにしなくてはならない」ということでした。
ケアマネさんなどケアの中心となる人たちもこれまで低賃金、国家資格の欠如などの問題でその力は十分発揮できたとは言えません。今回の包括がそうならないようにしなくてはなりません。