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2010-05-08

第1回愛ゼミ 今枝への質問と回答

第1回のアイゼミで皆様から出た疑問にお答えします!
本当に時間が足らず、皆様にはヤキモキさせてしまう話だったかと思いますが、これだけじゃなく、いくらでもお話させていただきますので、ご質問いただけたらと思います☆
●公を構成する視点には賛成、しかし公論の形成は非常に難しい。具体的には医療財源システムという新たな公的機関をつくった際、どう監視するのか?
→会計報告、1円まで情報公開という基本的な仕組みで対応したいと考えています。人の善意に頼る部分があるシステムなので、より厳正にしなくてはならないと思います。
また、医療保険への補填もどの部分を重視するかは、県民参画のガラス張りの議論で検討せねばならないと考えています。
●経済成長=労働力×生産性。有効求人率が1を切る現在では不可能では?後半をもっと詳しく聴きたかった。
→この方程式でいたかったことは、生産性を上げなくてはならないということです。
詳しいお話は、私の研修修了講演会でお話したのですが、私は今後の日本の経済がどうなるのか試算をしています。今後の人口減少や労働時間低下によって、この10年で日本の労働力は約20%減少します。この数年で大きな問題は失業率でしたが、その割合は一桁の単位です。労働力低下の度合いがいかに凄まじいかお感じいただけますでしょうか。これからの課題は、労働力の余りによる失業よりも労働力の低下です。もちろん、景気の上下はあるので、一時期は供給側が過大になり失業率が上がることもありますが、あくまで全体としてという意味です。
これを前提にしながら経済を考えると、この10年の経済成長はほぼ0%です。別に経済成長しなくても良いのですが、そうすると日本は確実に財政破綻を起こします。財政破綻を起こせば、多くの人が死に、この国の活力は一気に失われるでしょう。それだけは絶対に防がねばならないと考えています。
財政破綻を防ぎながら、ぎりぎり現在の私たちの生活水準が維持できるラインは0.8%の経済成長です。その為には、労働生産性13%底上げ、70兆円内需拡大にて、そして消費税15%(財政健全化のみを考えた時の数値で、高齢社会に対応する医療や介護、年金分は上乗せしていません)です。ちなみにこの時の失業率は5%程度と通常の欧米並みとなります。
●(SKさん)埋もれている個人資産を引き出すのは難しい
→まったくその通りだと思います。日本では寄付の文化がありません。アメリカの寄付のマーケットと比べて日本では1/500程度です。また日本人の貯蓄傾向は他国に比べて群を抜いて高いです。生活不安・年金不安・医療不安と貯蓄せざるを得ない時代背景も重なっています。
ただその一方で数千万円を出して人間ドッグや予防医療を行うセコムのエグゼクティブ向けサービスに数千人が登録していたりします。
社会不安や健康不安があるからこそ、逆に安心できる健康サービスのニーズが高いとも言えます。様々なインセンティブを付与することで貯蓄から寄付や消費がすすまないかと考えています。
具体的には、医師が全面的に協力した予防健康プログラムや意思決定コンサルタントなど、現在の医療保険では提供されておらず、命を救うというものではないが、ニーズに合致する健康サービスです。
また、地域の医療機関に寄付をしてもらうことで、病院から高齢者施設までどのような状況でも不安なく医療提供、介護提供ができるシステムも地域で構築し利用できるようにします。また、相続税や市民税の税制控除も重要です。欧米では、寄付のマーケットが成熟していますが、そのひとつの要因としてNPOなどに寄付すれば税金が一部控除されるというものです。
●(KYさん)財源の話から医療費話に変わったつながりが分からなかった。高齢者の資産がタンス預金(貯蓄)に回っているので、国内投資に回せる政策が必要。
→県予算で2兆2000億円の予算の中で医療費には1000億円、5%使用しています。また、今後20年でその額は約2倍になります。県財政にとってそれほど大きなファクターなのです。
また、「公」(NPO、市民の力)が行政に変わってさまざまなサービスを行い、その財源も市民が負担しあえるような環境を構築することが必要だと思います。具体的には、寄付や地域への出資という考え方です。寄付や出資が欧米並みに伸びてくれば、「公」の役割も非常に大きくなり、地域のさまざまな行政サービスをしなくて済むようになります。そうすることが行財政改革にとって非常に重要です。事業仕分けも重要ですが、なかなかドラスティックに財源確保が難しいということは皆さんもお感じでないでしょうか?「官から民と公へ」という流れが重要です。
医療はその好例なのです。このような寄付や出資の仕組みを支えるのは、個人の貯蓄に期待されますが、これらの貯蓄をいかに彼らに満足して寄付・出資してもらうかが重要です。その際に、高齢者の不安は健康問題です。これを安心できれば、むやみに貯蓄する必要もなくなります。また、健康は最大の関心事でもあり、ニーズも非常に高いのです。医療に安心してもらいながら、満足をしてもらうことで、貯蓄ではない考え方をもってもらう好例としたいと考えています。

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