2023年5月12日の福井県の実証実験において、日本で初めてレベル 4での運転許可がおりました。
いよいよ我々も、レベル4の自動運行装置を用いた運転者なしでの運行を体験できる日が来ましたね。
そこで今回は、自動運転のレベル分けについての説明から、実装状況、自動運転実現に向けての課題などを、国会議員の立場から、簡単に・わかりやすく解説していきます。
↓こちらの動画でもわかりやすく解説しています
YouTube:【日本初】自動運転『レベル4』解禁へ 運転操作から解放される高度運転自動化とは?
自動運転の「レベル」とは?
自動運転「レベル4」解禁となりましたが、そもそもこの「レベル」とはどういう概念なのでしょうか?
ここではまず、自動運転のレベル分けについて説明していきましょう。
自動運転のレベル分けについては、アメリカの「自動車技術会」(SAE)が示した定義が、 日本を含む世界においての主流となっていて、日本の政府や省庁でもその日本語訳を用いています。
この自動運転レベルの定義は、自動車側のシステムが運転タスクを実施する程度によって、 レベル0からレベル5までの6段階に分類されています。
レベル0は「運転自動化なし」の状態で、運転手がすべての運転タスクを実施します。つまり、普通の運転です。
レベル1は「運転支援」。システムが前方の車両との車間距離を維持したり、 車線を維持したりするなどの運転タスクを支援します。
レベル2は「部分運転自動化」。 システムが車線変更や追い越しなどの運転タスクを実施します。 ただし、「運転手はシステムの操作を監視し、必要に応じて介入する必要がある」という定義です。
―もしかしたら、レベル1~2にあたる自動車に乗ったことのある人はいるかもしれないですね。
レベル3は「条件付き運転自動化」。システムがすべての運転タスクを実施します。 ただし、「運転手はシステムの操作を監視し、システムが対応できない状況が発生した場合に備えて、 すぐに運転を再開できるように準備する必要がある」という定義です。
そして今回のキーワードとして取り上げるレベル4は、「高度運転自動化」といい、 「システムがすべての運転タスクを実施し、運転手は運転操作から解放される、 ただし、システムが対応できない状況が発生した場合、運転手は運転を再開できるように準備する必要がある」という定義です。
少しレベル3と似ていますが、 レベル4の特徴は、レベル3とは違って緊急時にも運転手が対応せず、 全てシステム側が自動運転の主体として責任を持つことにあります。 つまり、「運転手は運転操作に参加することを想定されていない」ということです。
ただ、レベル4の定義は「限定領域内」での自動運転とされているため、 領域外で走行する場合に備えハンドルやアクセルを搭載したタイプと、 領域内のみを走行するように特化したタイプの2種類が想定されています。
ちなみに、更に上のレベルもあります。レベル5は「完全運転自動化」。 「システムがすべての運転タスクを実施し、運転手は運転操作から解放される。 また、システムはすべての状況に対応できる」という定義で、まさにSF映画の世界のようですね。
“完全”自動運転レベル4の車両、乗客乗せ ゆっくり運行開始
冒頭で「2023年5月12日の福井県の実証実験において、日本で初めてレベル 4での運転許可が降りた」とお伝えしましたね。
福井県事例については、経済産業省と国土交通省が共同で進めてきた 「自動運転Level4等先進モビリティサービス研究開発・社会実装プロジェクト(RoAD to the L4)」において、 福井県永平寺町という山間部の町で、自動運転移動サービスの実現に向けた実証実験を実施してきた背景がありました。
そして今回、福井県の公安委員会からも許可を取得し、5月下旬から全国で初めて公道での運行を始めることになったのです。
許可を取得したのは、産業技術総合研究所が開発した「ZEN drive Pilot Level 4」という定員7人の車両で、時速12キロで走るモビリティです。「12km」というと、頑張って走ったら追い越せそうなほど、ゆっくりな速度ですね。 一般の車両が乗り入れないおよそ2キロの専用の公道で乗客を乗せて自動運転で走るサービスとして、 5月21日から乗客を乗せて運行を開始しています。
この事例からも分かるように、まだ、「高速で」「長い距離を」「自動運転レベル4で」を実現することには難しさもあります。 まずは、「ゆっくりとしたスピードで」「短い距離の決まったルートの上を走る」という段階から徐々に精度を上げていければいいですね。
参照:自動運転の実現に向けた国土交通省の取り組み 参考資料|国土交通省
自動運転VSイレギュラー、自動運転の前に立ちはだかる壁
自動運転というと、人間は何もしなくてもいいように感じるかもしれません。しかし、 実際に実証実験をしてみると、手動介入が必要な場面も多くあることが分かってきました。
例えば、突発的に飛び出してくる歩行者や動物に対しては、 急ブレーキこそ自動で働いたとしても、そこから再度通常運転に戻すために手動での操作が必要になります。
他にも、同じルートの上を自動走行するという前提だと、ルート上の路上駐車なども、プログラミングされていないイレギュラーな要素として、手動での対応が必要なる場合がまだあるようです。
また、福井県の例のように、積雪が多い地域であれば、 センサーが誤作動をしたり、道幅が積雪で変化したりして、プログラミング通りに通れなくなることもあったそうです。
新しい技術への対応課題
技術的な課題もまだまだ多い自動運転技術ですが、 経済産業省や国土交通省が中心となり、その技術の進歩を後押ししています。
また、無人自動運転サービスの実現と普及だけにとどまらず、 IoTやAIを活用した新しいモビリティサービス(:MaaS)の普及にも積極的です。
さらには、先進モビリティサービスに係る人材の確保と育成や、先進モビリティサービスに係る社会受容性の醸成、 つまり、皆さんに自動運転などの最新の技術を身近に感じてもらうための啓発や情報発信についても計画に含まれています。
そして、私たち国会代議士の役割でもありますが、レベル4の自動運転サービスをはじめ、AIなどを活用した新たな技術の導入に伴う、人とシステムとの間や関係者間の役割の変化を踏まえて、 民事上の責任について整理を行わなければなりません。
新しい技術に対応する形で、道路交通法などの関係する法律をアップデートしていく必要がありますね。
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